マレーシアのBPOで1年働いて分かったことについて

この記事を書いているのは2024年8月17日で、マレーシアに来てからほぼ丸1年が経とうとしています。

以前にマレーシアのBPOについて記事を投稿しましたが、そこからさらに約半年経ちました。

長いような、短いような1年間でした。

仕事における環境の変化と自分の考えについて書いていこうと思います。

2023年8月~2024年8月まで

クライアントの指示は絶対

私の今の仕事はコンテンツモデレーターというポジションです。

某サイトに投稿される動画を見て、クライアントが定めるポリシーに違反していないかチェックしています。

2024年の3月くらいまでは暇でした。

仕事というより作業と言った方がいいかもしれません。

言われたことをやるだけの単純作業。

ときには辛い思いをしたり、きついなと感じることもありましたが、概ね順調に仕事を消化していたと思います。

成果物についてはそれなりに評価してもらい、安いですがKPI達成のインセンティブを毎月ほぼ全額もらっていました。

4月くらいから状況が変わりました。

私は2つめの案件にもアサインされ、少しずつ仕事が増え始めました。

同じころにクライアントの窓口担当者が変わったようで、弊社スタッフの稼働率を重視する傾向が強くみられるようになりました。

1人1人のスタッフが何をしていたか・どれくらいの時間働いているのか・クライアントへ稼働率も提出されています。

例えば「アメリカマーケットやベトナムマーケットは忙しいものの、他のマーケットは暇ですよね?空いてるスタッフに担当以外のマーケットも作業させてくれませんか?」といった感じです。

担当するマーケットによっては十分な業務量が用意されていないのです。

稼働率に余力のあるスタッフを他のマーケットに回せと。

この結果、数人のモデレーターがクライアント許可のもと「その国の言語が分からなくてもいいから、映像だけを手掛かりにポリシー違反をしているかどうか判断せよ」となりました。

自分でバリューを出せないと感じ始める

「品質が落ちてもよいのでアウトプットを増やせ」ということなのでしょう。

私は思いました。

「その方式だったら日本マーケットを日本人が担当する必要はなく、ウチの会社視点(BPOサイド)では人件費が安い国のモデレーターをアサインした方が粗利も増えるよね」

・・・と。

そう、出身国によっては日本人モデレーターと給与(人件費)に倍近い開きがあるモデレーターもいるのです。

稼働率が低いと弊社のチームリーダーにクライアントから直接「どうなってんの?」と文句のチャットがとんできます。

加えて同僚の一部からは「なんで日本人モデレーターは自国マーケット以外の仕事をあまりやらないのに高い給料もらってるの?」と思われ始めるだろうな・・・とも考えました。

私は母国語以外の言語が得意ではないので人件費と粗利の関係や、今のクライアントが求める仕事のあり方について考慮した結果、自分ではバリューを出せなくなると感じるようになりました。

私も「ベトナムやイギリスマーケットの研修をやれるか?」と一度打診されました。

「自分には無理そうだし、ここで首を縦に振ると苦手なことを残りの契約期間ずっとやらされるハメになるのでは・・・」と考え、一度断りました。

3・4月ころには難易度低めの英語動画を見てモデレートしていましたが、打診された案件は私にとって前者よりかなり難しいものでした。

その上で6月くらいにチームリーダーからコーチングを受けた際「会社都合で私を解雇にしても問題ない。そのかわり2年未満で退職する際のペナルティはなしにしてくれないか」と伝えました。

私の雇用契約には「2年未満で退職するなら給料1か月分の罰金を支払わないといけない」という項目があります(加えて辞める際は3か月前に会社に通知しなければいけません)。

別に嫌味でもなんでもなく「解雇してくれた方がお互いメリットがある」と素直に思っていました。

リーダーからは「クビにしないから心配しないでいいよ」といった返事がありました。

もう異動してしまったのですが、対応のしっかりしたチームリーダーで、今でもちょいちょい相談にのってもらってます。

幸いウチの会社からは無理やり言語の分からないマーケットをチェックするよう強制されてはいないので、それほど大きな問題とは今のところ考えてはいません。

とは言え、やや肩身が狭くなってきたのは事実です。

チームリーダーもクライアントから無茶振りを受けているという認識はあったかと思います。

クライアントの要求と日本人雇用

他のモデレーターや他マレーシアBPO勤務経験のある日本人に相談したところ「日本人を雇用する必要性が薄まれば、簡単に解雇される危険性はある」とのこと。

やっぱりそりゃそうなるかと・・・。

今回あった「言語が分からないマーケットでも映像だけを手掛かりにモデレートしていい」みたいなことは無茶振りで「まともなクライアントならそもそもこんな要求してこない」という意見もありました。

クライアントとの間にどんな契約を巻いてるか分からないのでなんともですが・・・。

またウチの会社の特徴として複数のプロジェクトを渡り歩いてきた人が言うには「クライアントの要求にNoと言わない」だそうです。

例としてこんなエピソードを聞きました。

英語を話せないカスタマーサポート担当者に、ある日突然「英語で電話対応しろ」と指示がくだったとのこと。

その時のチームは数名、日本語しか話せないメンバーが在籍しており困った事態に。

チームがとった対応は「クライアントの仕事を受けてしまった上層部に不可能な要求と分からせるためにも電話対応をする」というもので、かかってきた電話を「I cannot speak English」と言って切るという荒業をしばらく行っていたと聞きました。

強い・・・っていうか本当にどんな会社だ・・・

最近は個別株にお金を使ってましたが、日本に帰国して生活を整えるまでの資金をもう少し貯めはじめないとダメかもしれん・・・と感じてます。

今後の身の振り方を考える

大雑把に下記のように考えています。

今の会社に残って勤務継続する場合

  • 会社内で他のプロジェクトがないか探す
  • 同じプロジェクト内で違うチームへ異動を希望する

難易度は別プロジェクトへの異動よりも、同じプロジェクト内で別チームへの異動が比較的簡単かと。

この場合、抜本的な状況改善は望めませんが・・・。

今の会社はマレーシア国内での転職に必要なリリースレターというものを発行しないので、マレーシアで別の会社へ転職するという選択はとれません。

会社内の他プロジェクトへの異動は日本語しか話せない場合、あっても電話カスタマーサポートくらいなので、作業内容が限られてきます。

最近はカスタマーサポートの年齢上限も下がっているらしいので、私など英語が話せたとしても厳しいでしょう。

「いつクビを切られても次の行動に移れる準備を整えて心にゆとりをもたせつつ、もう1年働き続ける体で毎日を過ごす」「同プロジェクト内で他チームへの異動を希望する」が現実的と考えています。

理想は海外でノマド

数年前までは会社員としてではなく、日本でフリーランスとして働くか、フランチャイズで商売できたらいいなとも思っていました。

しかし、今の日本の税金の高さをみると、私にとってただでさえ高かったハードルがさらに上がっているように感じます。

「海外で拠点を変えながら自分のペースで働いて生活できればなぁ」と思いますが、ゴールとそこに至るまでのロードマップも全く見えていません泣。

会社内のヒエラルキーを競争しながら上に戦い抜いていき、承認欲求を満たしていく環境が向いている方もいると思いますが、私はこのタイプではありません。

既にそんな気力はありません。

1人、もしくはある程度気ごころの知れたメンバーと少人数でのんびり働ければと思ってしまいます。

おわりに

この記事をリライトしているタイミングで、クライアントの要求によりチーム編成が変わり、数名が異動になりました。

最初から集めるデータの質や量は決められていて、AIの機械学習も順調。

そろそろ人がモデレートした動画の数を絞っていくフェーズ・・・といった時期なのかもしれないなと勝手に想像しています。

もしくは前述した「言語が分からない動画をモデレート」の件に通じるのですが、AIに「ビジュアルだけで状況判断する学習を積ませたい」という意図が別にあるのかもしれません。

ただ、異動したメンバーは全員優秀なので、人のモデレートした動画数を絞る説がやや有力な気はしています。

何はともあれ「マレーシアでは突然仕事がなくなるというケースも往々にして起こるのだな」と実感しますね。

年齢も年齢なので、できるだけ会社に頼らずに自分で収入を得る仕組みをつくりたいと思う今日この頃です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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