今回の記事では、コンテンツモデレーターのストレスについて書いてみました。
最初にお伝えすると、ネガティブな内容が多く、読んでいて不快に感じる方もいらっしゃると思います。
「仕事のここが辛い・きつい・大変」そういった話が苦手な方はスルーしていただけますと幸いです。
また、内容が内容ですので、一部フィクションを混ぜました。
ご了承くださいませ。
私が経験したマレーシアBPOへの就業フロー・会社選びの注意点も記事にしています。
この記事と合わせて、マレーシアBPOのコンテンツモデレーター求人へ応募しようか、迷っている方の参考になれば幸いです。
組織構造的に日本の会社では当てはまらないケースがいくつかあると思ってます。
薄利多売か、付加価値を加えて納品するか
まず、プロジェクトの方向性について記載いたします。
言い換えれば「言われた通りの単純作業をひたすらやるか」「モデレート目的の明確化やルール提案なども巻き取って、付加価値を加えてクライアントへ納品するか」の違いとも言えます。
この辺りはクライアントがどちらを求めているのか・社内に実行可能なリソースがあるかなどで状況は分かれると思います。
末端の作業員が経営方針をどうやって知るのか?
私のケースですと、7月から作業の稼働率水準がより厳しくなりました。
稼働率の計算方法は下記の計算式です。
稼働率=1タスクあたりにかかる時間 × 処理件数 ÷ 作業時間
稼働率の目標値は変わらないのですが、分母の「作業時間」が大きくなったのです。
となると必然、処理件数を増やさないことには稼働率は上がらないわけです。
「1タスクあたりにかかる時間を増やせばよくないか?」という考えもあると思いますがこちらも「何分何秒以下でやりなさい」と決められています。
「稼働率の達成目標が厳しくなる=求められるアウトプット量が増える=会社が薄利多売の契約をクライアントと結んだ可能性がある」と1つの推測が成り立ちます。
実際、この件に関しては薄利多売の契約締結を裏付ける情報を得ることができました。
薄利多売の経営方針が原因のストレス
私の所属しているプロジェクトは薄利多売に舵を切りました。
現環境が原因のストレスには、ざっくり下記の点が挙げられます。
休憩が取りづらく、疲れが溜まりやすい
ひたらすら単純作業の繰り返しで、マウスクリックとテンキー・エンター・スペースの連打みたいな形です。
間にミーティングなどはいると、稼働率が目標値ギリギリになることもあり、心身ともに疲労が蓄積します。
視野が狭くなりがち
家に帰れば「今やっていることは単純作業で、ずっと続けるタイプの仕事ではない」と視野が戻ります。
ただ、職場にいるときは良くも悪くも「仕事に生殺与奪権を握られている」という感覚が強まるためか、かなり窮屈な思考をしている不快感があります。
この辺りはもう少し貯金や副業、自分に仕事を選べる能力があれば違うのかなとも思いますね。
モデレート内容によるストレス
グロ・性的な映像による生理的嫌悪
私はあまり感じてなかったのですが、人によっては抵抗のある方も。
他のチームで男性陣が性的な映像を話題にしていて、それを不快に思った女性モデレーターが異動を申し出た、といった話も聞きました。
グロい映像もなくはないので、耐性のない方はストレスが溜まりやすいかもしれません。
モデレート対象に価値が見い出せないケース
最近の私はこの点に関してストレスを感じてしまうことが多いです。
8月くらいまでは「この内容はやりがいがあるし、クライアントやエンドユーザーに貢献できていそう」と思っていた作業内容もありました。
ただ2つあった案件の内、上記が終わってしまい、今は残った1つだけモデレートをしています。
最近のモデレート内容は下記の点により「これやる意味ある?」と思っています。
- モデレート対象動画が第三者の無断使用ばかりで、訴訟リスクの低い動画は野放し
- モデレートのルールが頻繁に変更される
- オリジナリティーのない似たような低品質動画で溢れかえる
- チェックをするクライアントからやる気のなさを感じる
「・・・このプロジェクトにかける金をインフルエンサーに渡して、がっつりオリジナル動画作ってもらった方がよくない?」と勝手に思っています。
ある程度、利益のためなら倫理的にだめなものにも目を瞑るのは分かります。
ただ長期的に見て「クライアントのみならずエンドユーザーにも何の利益ももたらしてないのでは・・・?」「人の作ったものを無断使用して金を稼ぐ流れを助長してないか」というのが今の私の業務に対する個人的な見解です。
口が裂けてもこんなことはクライアントに言えませんが。
そして、この案件が上手く回ってないからか分かりませんが、クライアントのチェックも割といい加減。
そうはいっても自分の成績にかかわってしまうので「ちゃんとチェックして欲しい」と思っていましたが、最近は「成績不良で強制退場させられるか、自分で損切りした方が良くないか?」と真剣に考えてます泣。
おそらく私を含む数人のチームメンバー、クライアントの一部は「この案件から早くフェードアウトしたい」と思っているような気がしています。
不可解なチームマネジメントによるストレス
チームリーダーが8月から変更になったのですが、文化的な違いが原因なのか?いろいろと困っています・・・。
とはいえ、本人の給料はおそらく大分安いので、致し方ないのかもしれない・・・とも・・・(後述するデータベース記載の給料から察するに、ポジションが上とは言え、出身国から日本人の1/2ほどと推測)。
私が今の会社に入ったときの最初のチームリーダーで、いったん別チームへ異動した後、出戻ってきました泣。
基本的に1つのチームにリーダー2名体制のケースが多いのですが、異動後もう1人のリーダーと折り合いが悪かったとのこと。
おそらく日本でここまでのリーダーはなかなかいないと思います。
一応フォローしておくと、根は悪い人間ではないです。
常に明るいですし、あまり失敗も引きずりません(反省もしませんがw)。
ただ、職場で一緒になると大変困る笑。
具体的に困っているポイントは下記のとおりです。
くどいと思って省略しましたが、各項目名の主語はリーダーです。
不要な作業を増加させる
需要のないデータベースを作り、入力作業でモデレーターの業務時間が圧迫されるといったことが起こりました。
作った本人がチェックやメンテナンスが苦手なので、データベースへの数値入力をモデレーターに投げたためです。
「人の時間を奪う」ということに無頓着な人間に「なんで稼働率の目標値が達成できないんだ?」と言われた日には「あなたが原因じゃないの笑?」という感情が湧くのは割と自然な気がしています。
基本的に他のリーダーは自分で数字を出していたので、私も含めこの作業に対する風当たりは厳しめでした。
昨年もやっていたのですが、入力後の数値チェックをしないので、間違った成績がインセンティブに反映されたりもしてました笑。
今回に関しては、チームリーダーの上司を巻きこみ、モデレーターによる数値入力を中止させました。
チームメンバーの給料を朝礼でうっかり全員分さらしてしまう
上記のデータベースにチームメンバーの給料を記載するページがあり、朝礼で数分間、全員分の金額が見える状態になっていました。
朝礼では会議機能のあるアプリを使用し、画面共有を使って説明が行われることもあります。
その日の朝礼は30人前後同接していました。
リーダーが「私が作ったデータベースを使う人数があまりに少ないので、使い方を改めて説明する」という不要なことを行った際のやらかしです。
給料が記載されているシートは閲覧・編集権限ともリーダー本人しかもっていなかったようで、モデレーターは見ることができませんでした。
「今日も話が長そうだなー」とぼんやり画面を見ていると、メンバーの国籍・在籍期間・給与額等が掲載されているページが丸見えになっているではありませんかw。
うっかりもあると思いますが「給与情報を公開してはいけない」という意識すらもっていないと思います。
別の日にはあるメンバーのインセンティブ額を数か月分公開・説明していましたし笑。
話には聞いていましたが、日本・韓国メンバーが他のメンバーよりも2.5倍近い給料をもらっていることが確認でき、自社の闇を感じました。
計算が苦手
「この時点での稼働率はこのくらいだ」とチャットで周知していましたが、毎回計算が間違っていました。
ミスを指摘しても本人はなかなか認めません。
確認すればすぐに分かることなのですが笑。
あまりにチームメンバーからミスを指摘されたせいか、周知はなくなってしまいました笑。
チームリーダーは2人いて、別の1人も出勤している日は周知されます。
遅刻・欠勤が多い
業務開始に平気で遅れてきます。
「体調不良で休む」という日も多いのですが、何故か業務用のグループチャットに不要なクイズを投稿したりします。
こんな状態なので「あぁ、またサボリか」と感じてしまうこともしばしば。
しかし何名か遅刻をした人が出た場合は「遅刻をするな」と平気な顔で注意します。
部下の業務内容を理解できていない
これは本人が悪いというより、役割分担の弊害もあります。
というのも、QA(クオリティ・アシュアランス)という別ポジションが業務ルールをクライアントと連携して管理することが多いからです。
リーダーによっては自発的にルールを理解しようとするですが、私のチームリーダーはそうではありません笑。
おわりに
日本でも近しい内容はあると思いますが、マレーシアのコンテンツモデレーター業務では「このストレスは日本であまり経験ないかも・・・」といった種類をそれなりに経験しました。
これから東南アジアBPOでコンテンツモデレーターの面接を受ける方は、下記の内容を判別するために逆質問するといいかもしれません。
- プロジェクトの運営方針が薄利多売か、付加価値を付けて納品するタイプか
- チームリーダーへのキャリアアッププロセス・社内育成方法・中途入社の採用基準
不況時は薄利多売の方が生き残りに有利かもしれませんが、AIに代替されやすい業務領域ですので、仕事に付加価値を付けて納品するプロジェクトに身を置いた方が、後の選択肢は広がると思います。
2つ目の質問は自分のやる気をアピールできますし、採用担当者の回答からある程度やばいチームリーダーの在籍率が予測できるのではないでしょうか。
「チームリーダーが機能していない」「マイクロマネジメントがひどい」という話はコンテンツモデレーターのみならず、コールセンタープロジェクトでもよく耳にする話なので、マレーシアでの就職をお考えの方は気を付けた方がよいかと思います。
何はともあれ、皆様の労働時間が充実したものになることを祈っております!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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